欧州連合(EU)などから国際的な支援を受けているギリシャが、欧州有数の観光地であるエーゲ海の島を売却する可能性が出てきた。同国は支援条件を計画通りに履行する見通しが立たなくなり、ドイツやフランスなど域内支援国に条件の緩和を求めているものの、支援国側はギリシャへの圧力を強めており、自助努力の姿勢をアピールする必要に迫られている。
◆改革期限延長求め
ギリシャのサマラス首相は23日付仏紙ルモンドのインタビューで、いくつかの島を売却する意向があるかとの質問に対し、無人島を使い収入を上げることは可能だとの認識を示した。首相は「国家安全保障上の問題とならない限り、一部の島を商業利用することは可能だ」「島を手放してしまうのではなく、使用されていない土地を適切な価格で収入源に転換するということだ」などと説明した。
サマラス首相は22日、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)との会談後に、ギリシャ救済の条件である国有資産売却と労働市場改革などの構造改革を加速させるとの決意を表明している。しかし国有資産売却による資金調達は過去2年間、計画通り進んでいない。
国有地の売却はギリシャにとって政治的に微妙な問題だ。EUの欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)で構成する通称トロイカの代表団が、2011年に売却を促す提言を出した際、当時のパパンドレウ首相は売却を阻止する法律を成立させると述べ抵抗した。エーゲ海の無人島をめぐっては、1996年に隣国のトルコと戦争になりかけたこともある。
ギリシャは総額2400億ユーロ(約23兆6900億円)規模の国際的な包括支援を受ける条件として、民営化と不動産によって20年までに500億ユーロを調達する必要があるが、これまでに売却による調達資金は総額約18億ユーロにとどまっている。
またサマラス首相は、22日付の独紙ビルトのインタビューで「われわれが求めているのは、経済を立て直し、歳入を増やすための若干の時間的余裕だ。時間をかけることは、必ずしも必要な資金が増えることを意味しない」と述べ、ギリシャ国内の改革期限の延長を求める考えを明らかにした。
同首相率いるギリシャ連立政権は財政調整の達成時期を2年先送りすることを望んでいる。同首相によれば、ギリシャは財政難が明らかになってからの3年間で経済規模が約20%縮小。国民の生活水準は30%以上低下し、若者の半分が失業に追い込まれているという。
<以下略。省略部分はソース参照>
ソース:SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120825/mcb1208250502003-n1.htm
記事元:【欧州危機】エーゲ海の島、売却の淵 ギリシャ 支援条件の履行進まず「背に腹は」 [12/08/25]