古代マヤ文明の暦が「地球規模の大災害、人類滅亡」を示すとされた12月21日を迎え、世界中に不安が広がった。
米航空宇宙局(NASA)には問い合わせが殺到し、中国では終末論を背景に信者を増やしていた宗教団体「全能神」の信者1300人が拘束された。だが、今のところ天変地異などは起きておらず、予言は外れた形。
では何が当たったのか。早くもブラックジョークまで取り沙汰されている。
ハリウッド映画「2012」(2009年公開)の衝撃的な世界が滅びゆく映像と、迫真のシナリオで、世界の人々は古代マヤ暦と終末予言について知ることになった。
それ以来、予言の舞台となったメキシコのユカタン州の州都メリダ市は空前の「人類絶滅観光特需」が巻き起こっていた。
人類絶滅遺跡ツアーに人類絶滅カレンダー、人類絶滅キャンディーに人類絶滅バッグ、人類絶滅Tシャツに人類絶滅定食…。とにかく商品に「人類絶滅」と記すだけで、世界中から押し寄せる観光客が買ってくれた。映画公開後の経済効果は「3年連続で成長率前年度比1000%を達成」(メリダ商工会議所)というほどだ。
しかし、諸行無常、栄枯盛衰、おごれる者は久しからず。繁栄した街に滅びの日が来た。人類絶滅が始まるとされた21日以降、メリダ近郊のホテルやツアーの予約はほとんどゼロに陥ってしまったのだ。滅びの日以降にマヤの各遺跡を訪れるのは意味がないというわけだ。
ウシュマルやチチェンイツァなどの人気絶滅遺跡は完全に閑古鳥が鳴いている。だが「世界は火に包まれる」というマヤの予言はある意味で正しかったのだ。
「そもそも暦は、マヤ人によるマヤ人のための予言で、マヤ人の末裔・メリダの人々の生活が“火の車”となって壊滅状態になるという意味だったというブラックジョークまで出ている。メリダの人々にとっては観光客がいなくなり、観光産業が衰退すること=世界の終わりにも等しいからです」というのは現地に詳しいジャーナリストだ。
メリダ観光協会は「世界が滅亡するのは2012年ではなく2015年だった」という古代マヤ歴のズレを指摘した新説を発表し、観光客の呼び戻しに躍起になっている。
(続きます)
画像:メキシコ・ユカタンの魅力 より
ソース:東スポWeb
記事元:【話題】 メキシコのメリダ観光協会 「世界が滅亡するのは2012年ではなく2015年だった」