【土地所有の台湾人が殺された…「沖縄」に不気味な影】
台湾・台北郊外を流れる淡水河の岸辺で今年2月、1人の老人の死体が発見された。遺体には鋭利な刃物で刺された傷があった。老人の名前は陳進福さん(78)。妻も同時に殺された。
3月に入って男女4人が逮捕された。陳さん夫妻の財産をねらった犯行とみられているが、陳さんは日本の島をめぐるトラブルも抱えていたようだ。
日本の公安関係者は「沖縄に土地を所有していた陳さんが中国ともめていたとの話もある」と語る。
地元関係者によると、留学生として来日した陳さんは、日本の大学の非常勤教員などを経て事業をおこした後、沖縄県西表島の南西に位置する外離島(そとばなりしま)や内離島(うちばなりしま)の土地を日本人から購入。
陳さんには香港の実業家が「観光開発したい」と土地の売却を働きかけていたという。
台湾の東森テレビ(3月11日電子版)はこの実業家が「大陸(中国)の軍関係者からの指示で購入を図ったともいわれる」と伝えた。
尖閣諸島の南に位置する西表島と与那国島との間を中国艦船7隻が航行したのは昨年10月だった。
中国人による沖縄県の土地買収話はこれだけではない。沖縄県が一昨年11月に上海で開いた投資セミナーでは、リゾート開発のほか米軍人向けの賃貸住宅も対象に含まれていた。
沖縄側には中国マネーを当て込み、経済を活性化したいという思惑もあるようだ。水面下では地元財界トップもからみ、主に中国の資本で500億円程度の「日中友好投資ファンド」の立ち上げを目指す動きもある。
構想には、カジノリゾートや那覇市内のチャイナタウン設置、中国語テレビの開局も含まれている。
「島の領有権をめぐる対立を棚上げして、共同開発と大局維持をしよう」
中国清華大の劉江永教授は、沖縄県内で行われる講演会に何度も足を運び、尖閣問題の棚上げによる日中友好を強調する。
日本各界とつながりを持つ中国国際友好連絡会(友連会)の関係者も頻繁に沖縄を訪れている。
中国大使館の福岡総領事は定期的に沖縄県を訪問し、県幹部らと接触を図っている。
平成23年7月から日本政府は沖縄県を訪問する中国の個人観光客を対象に、3年間有効な数次ビザ(1回の滞在期間は90日以内)の発給を開始。これで中国の航空会社の沖縄便参入が相次ぎ、観光客も急増した。
観光とは別の目的で沖縄を訪れる人たちもいるようだ。沖縄には4つのAMラジオ局があるが、夜になると一気に30以上受信が可能になる。
主に中国語の放送だが、公安関係者によると番組の中で沖縄にいる中国人や中国と関係のある沖縄県民へのメッセージが含まれることもある。
「○○さんお元気ですか」「○○さん、連絡をするように」といった具合だ。
作家の佐藤優氏は沖縄での中国の動きについてこう解説する。
「これまでの指示を与えられて動いたスパイとは違い、ばらばらでもある段階でみなが中国の国益にあわせてスパイとなる。新帝国時代型の新しいインテリジェンスだ」
中国の浸透工作は沖縄だけにとどまらず、日本全体、そして世界へと向いている。
ソース:産経ニュース
記事元:【日中】沖縄に迫る中国マネー土地買収の不気味な影[04/04]