【「忘災」の原発列島 インドで「アベさん、帰れ!」 日印原子力協定に反対運動】
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◆住民ら「フクイチが終わっていない」 NPT空洞化させる恐れも
「ミスターアベ、ゴーバック!」(安倍さんは帰れ!)
インド西部の町、ジャイタプールで昨年12月12日、原発建設の反対集会が開かれた。集まった農民や漁民ら2000人以上が冒頭のシュプレヒコールを何度も繰り返したという。
インド政府は、この地で最大で6基の原子炉を建設する計画を進めているのだ。
安倍首相はこの日、ニューデリーでモディ首相と会談、日印原子力協定を締結することで原則合意した。
これに反対する集会がインド各地で開かれ、中部のナーグプルでは掲げられた横断幕にこう記されていた。「フクイチ(東京電力福島第1原発事故)が終わっていない。インドに原発売ってる場合か!」
インド国民の反発をよそに、なぜ日本は原発を輸出しようとしているのか。
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原発ビジネスは1基当たり5000億円規模と言われる。日本企業にとっても資機材の輸出によって莫大(ばくだい)な利益を得るチャンスなのだ。
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インドがNPTに加盟していないのは「米英仏露中の5カ国だけに核の保有を認め、非核国には国際原子力機関(IAEA)による査察を義務づけているNPTは不平等だ」との立場を取っているからだ。1974年と98年には核実験を行い、国際社会から原子力分野の技術協力やウラン燃料の取引を禁止された。
その後、独自に核開発を進めてきたが、00年代に入り、風向きが変わった。「中国に次ぐ巨大市場としての可能性、そして力を強める中国へのけん制役として注目されるようになり、米国がインドとの関係改善に乗り出したのです」(松久保さん)。
05年の米印原子力協力の合意に続き、08年には日本など原子力関連貿易を行う48カ国でつくる原子力供給国グループが、インドを「例外扱い」とし、停止していた貿易を再開。
これによって、インドは事実上、米英仏露中に並ぶ地位を手にした。
松久保さんは話す。「米国は『インドを孤立させるより、国際社会の枠組みの中に引き入れることが重要』という理屈で関係改善を進めました。日本も同じ論理で臨んでいます」。
確かに安倍首相は、日印原子力協定の意義をこう強調している。「国際的な不拡散体制にインドを実質的に参加させることにつながる。不拡散を推進する日本の立場に合致する」と。
しかし、松久保さんは「非核国の日本がこの協定を結ぶことは、インドの『核軍拡』を容認することになってしまう。それでも核不拡散体制に引き込んだと言えるのでしょうか」と、政府の理屈は成り立たないと断じた。
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さらに重大な問題がある。この協定では「原子力の平和利用」の確約が不十分だということだ。
両国の交渉で、日本側は「核実験を実施した場合は協力を停止する」との規定を盛り込むことにこだわったが、核開発の制約を受けたくないインドは難色を示していた。
「核実験で協力停止」という条件を巡って、安倍首相は「モディ首相に伝え、理解を得られた」と胸を張った。だが、首脳同士で交わした覚書にはこの記述はない。
関係者によると、協定関連文書には明記される見込みだが、どんな文言になるかはまだ不明だ。
使用済み核燃料の再処理をどこまで認めるかについても不明確なままだ。簡単に説明すると、日本製の資機材で作られた原発から出た核のごみが、核兵器の原料として利用される懸念が拭えていないのだ。
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ソース:毎日新聞
記事元:【悲報】安部総理 インドで嫌われてることが判明