【ニューデリー=岩田智雄】インド北部ダラムサラのチベット亡命政府で開かれていたチベット人特別総会で28日、ロブサン・センゲ首相は国際社会に対し、チベットでの中国政府による圧力に抵抗し、人権擁護のため立ち上がるよう呼びかけた。特別総会は同日、閉幕した。
フランス通信(AFP)によると、センゲ首相は「われわれは欧米諸国との強力な接触を再構築しなければならない」と述べ、「中国政府にチベットへの抑圧をやめさせるよう圧力をかけるため、国際社会からの支援が必要だ」と訴えた。
亡命政府によれば、中国政府は漢民族をチベットに大量移住させる政策を続け、チベット人の政治的自由や言語、宗教、文化を抑圧してきた。これまで51人が抗議の焼身自殺を図り、41人が死亡したという。
亡命政府はチベット人に極端な行動を取らないよう呼びかけているものの、自殺者は後を絶たない状況だ。
ただし、問題解決へ向けた中国政府との対話は途絶えたままだ。中国政府代表者との会談は2002年以降9回行われたが、10年1月以降は実現しておらず、今年6月には特使2人が「有益で意味のある対話を現状で望むことは、はなはだ困難」として辞任した。
焼身自殺の続発は、亡命政府の政策にも理由の一端があるとの見方も同政府内にあるようだ。亡命政府が発表したビデオの中で専門家は、中国政府への不満に加え、ダライ・ラマ14世が政治権限をセンゲ首相に譲ったことで、ライ・ラマが政治最高指導者としてチベットに帰ってこないという失望感が僧侶らに広がったことがチベット人を自殺に駆り立てていると分析した。
一方、センゲ首相は26日、今後は自らを首相ではなく、政治最高指導者(摂政)と位置づけるとした法案に署名した。
画像:チベット亡命政府のロブサン・センゲ首相=2012年4月4日
ソース: 産経ニュース
記事元: 【チベット問題】チベットで焼身自殺続発41人、中国への国際圧力訴え 亡命政府首相 [09/29]