イスラム圏でのインフラ整備や民間事業へ融資、支援する「イスラム開発銀行」(本部・サウジアラビア)のアハメド・モハメッド・アリ総裁ら幹部が、IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会出席のため来日し13日、東京都内で同銀行の事業内容などを説明するとともに、日本からイスラム圏への投資を呼びかけた。
イスラム開発銀行は、融資を通じて貧困などを解消する目的で1975年に設立された機関。現在、中東やアジアのイスラム協力機構に属する56カ国がメンバーとして出資し、資本金は500億ディナール(約3兆5400億円)に上る。
イスラム法では「金利」を取ることは禁止されているが、「対価」については禁止されていないことから、事業に融資する際に設備を設置する料金や事業の必要な資材を購入するときに手数料を上乗せするなどで利益を生み出している。
創立から現在まで空港や発電所建設など約3900のプロジェクトに融資しているほか、社会的事業としてパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの3カ国のポリオ撲滅プロジェクトに総額約3億5000万ドル(約275億円)を融資している。
アリ総裁は、同銀行が欧米の格付け会社からもトリプルAを受けていることを紹介したうえで「08年の世界的な金融危機の時にも影響は少なく、むしろ投資をしたいという国は増えている。それはイスラム経済は実体経済に依存する部分が多く投機的度合いが低いからだ」と話した。
また日本との関係について「地域の発展という共通目的でJICA(国際協力機構)とは(協調融資などで)良好な関係を持っている」とした。
さらに同席したアーメット・ティクティク副総裁は「イスラム圏でのプロジェクトに参加を希望する日本企業を、私たちは手伝うことができる。ぜひ相談してほしい」と日本から出資を呼びかけた。 【黒川将光】
画像:会見するイスラム開発銀行のアリ総裁(左)とティクティク副総裁(右)=東京のホテルで2012年10月13日
ソース: 毎日jp
記事元: 【国際】イスラム開発銀行総裁ら来日 日本からの投資呼びかけ