【「幸福の国」ブータンで異変 広がる薬物汚染の実態】
「幸福の国」と呼ばれるブータン。今、深刻な薬物汚染に揺れている。今年の薬物事犯の逮捕者は2年前に比べて倍の1000人を超えるペースだ。中には14歳から薬物を使用する若者もいる。
2011年にはNGO団体が設立され、ドラッグ中毒者の社会復帰支援に努めるが、薬物に手を染める若者は増す一方だ。
その背景には若者の高い失業率がある。さらには、インドと国境を接するブータン独自の事情も汚染拡大に拍車をかけていた。
◆「ドラッグ? みんなやってるよ」
20代のドラッグ常習者の男性は語る。
「ドラッグはタブレット型の合成麻薬で種類はスピードとか色々。値段は1ケース150ヌルタム(267円)。最近は値上がりして250ヌルタム(445円)くらいかな。知り合いから買うんだけど、そいつはインドから持ち込んで来るらしいよ」
ブータンの都市部で働く公務員や民間企業の社員の平均月収は2~3万円ほどだ。彼らにとってドラッグはけっして安い買い物ではない。
そもそもブータンではタバコの販売さえ許されていないのだ。とりわけドラッグに対する罰則は重く、使用・所持が発覚すれば3カ月の懲役、販売すれば6年から9年の懲役が課せられる。
だが、規制をかけても薬物汚染は止まらない。
全国に7カ所設置しているドラッグやアルコール中毒者専用の救急医療施設「Drop in Center」では深夜になると顔面蒼白で口から泡を吹き出した若者たちが担ぎ込まれる光景がよく見られる。
ブータン麻薬取締局によれば過去数年間で約6300人が薬物が原因で医療機関を訪れているという。
ドラッグのほとんどは、隣国・インドから持ち込まれる。中国と国境問題を有するブータンは、もう一方の強国であるインドを頼り、同盟関係を結んだ。だが、こうした緊密な関係は、ドラッグ監視の目がゆるくなるという結果を招いた。
事実、ブータンとインドの間は身分証明証さえあれば、通行は自由化されている。
◆「社会復帰のめどさえ立てば……」
(略)
◆「若者たちを救いたい」
(略)
◆好景気でもなぜ仕事が無い?
だが、近年、ティンプー郊外ではマンションの建設ラッシュが続いており、仕事自体は選ばなければある。ただ、経済成長とともに大学進学率が上昇し、若者たちは公務員などのホワイトカラーの仕事を望むようになった。農業や建設現場での仕事は3Kとして敬遠されてしまう。
国際協力機構(JICA)でブータンの援助計画を策定している須原靖博さんはこう分析する。
「ドラッグ問題を解決するには、若年層の高い失業率への対策が不可欠です。 たとえば、ブータンの農家は大半がコメ農家ですが、より収入の高い作物に切り替えて、収入が向上すれば、 農業従事者も増加し、雇用も安定するでしょう。」
◆「ただ、刺激が欲しかった」
(以下略)
ソース:YAHOO!ニュース (動画有り)
記事元:「ドラッグ?みんなやってるよ」 ブータンで異変 薬物が蔓延し違う意味での「幸福の国」に