【ジャカルタ佐藤賢二郎】 インドネシアからの分離・独立を求める住民運動が続く東部パプア州で、国家警察の対テロ特殊部隊が住民の弾圧に関与している疑惑が浮上し、部隊を支援するオーストラリアへの批判が高まっている。
独立派は豪政府が「人権侵害に加担している」と非難。豪州でも支援中止を求める声が出ている。
◇豪州が支援し誕生
この部隊は「デタッチメント(分隊)88」。02年にバリ島で起きたイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(JI)による爆弾テロ事件で豪州人を含む計202人が犠牲になったことを受け、03年、テロ対策の専門部隊として米豪両政府の支援で誕生した。
部隊名「88」は豪州人の死者数に由来するとされ、豪州連邦警察などが訓練を担当。車両や装備の提供も受け、インドネシア全土でJIなどが標的の対テロ作戦に当たってきた。
対テロ部隊はパプア州の独立派で武装闘争を続ける「自由パプア運動」(OPM)の掃討作戦に参加。
5月以降、政府側と独立派の対立が激化し無差別の銃撃事件が続発して計27人が死亡。
6月には州都ジャヤプラで独立の是非を問う住民投票の実現を提唱していた地元指導者、マコ・タブニ氏が警官に射殺される事件が発生した。
◇運動指導者殺害に関与?
インドネシア政府は海外メディアの入域を厳しく制限しているが、旅行者を装ってジャヤプラで現地取材した豪ABCテレビが8月末、目撃者の証言などを基に、マコ氏殺害に対テロ部隊が関与したと報じた。
拷問を受けるパプア人と部隊員とされる武装警官が一緒に映る動画も入手。
部隊が住民への拷問や殺害を続けていると指摘し、独立派幹部は「パプア人殺害の資金や装備を供給している豪政府も暴力の当事者」と訴えた。
豪州のカー外相は「部隊の目的はテロ対策であり、内乱鎮圧ではない」と語り、インドネシア側に真相究明を求めると発言。豪政界では「関与が明確になったら支援を打ち切るべきだ」と要求が出る事態に発展している。
ソース:毎日jp
記事元:【インドネシア】パプア州独立運動、インドネシア特殊部隊が弾圧疑惑、豪も関与?[09/30]